【データベースの知識】データベース運用の基本「3つのバックアップ方式」とその選び方
データベース(DB)の運用において、万が一のシステム障害やデータ破損、誤操作からデータを守るバックアップ設計は生命線である。
データベースのバックアップは、データの採取範囲や運用のコスト(容量や処理時間)に応じて主に3つの方式に分類される。今回はそれぞれの仕組みとメリット・デメリット、そして選定基準を分かりやすく解説する。
1. フルバックアップ(完全バックアップ)
対象となるデータベース内のすべてのデータを丸ごと丸ごとバックアップする方式。
- 仕組み: 基準となる時点のデータを1つのまとまったファイルとして完全に複製する。
- メリット: 復旧(リストア)作業が極めてシンプルである。万が一の際は、このフルバックアップデータを1回書き戻すだけで、その時点の状態を完全に再現できる。
- デメリット: データ量に比例して、バックアップの実行時間が最も長くかかり、保管に必要なストレージ容量も最大となる。
2. 差分バックアップ(ディファレンシャル)
「最後のフルバックアップ」から「現在」までの間に変更・追加されたデータのみを抽出してバックアップする方式。
- 仕組み: 起点は常に「直近のフルバックアップ」となる。そのため、フルバックアップからの日数が経つにつれて、日毎に差分データのサイズは徐々に肥大化していく。
- メリット: 復旧(リストア)の際は、「直近のフルバックアップ」と「最新の差分バックアップ」の計2点があれば良いため、比較的スピーディーに復旧が完了する。
- デメリット: フルバックアップから次のフルバックアップまでの期間が長いと、後半の差分バックアップのサイズが大きくなり、日々のバックアップ時間が長くなってしまう。
3. 増分バックアップ(インクリメンタル)
フルか差分かを問わず、「前回のバックアップ(直近の何らかのバックアップ)」から「現在」までの間に変更・追加されたデータのみを抽出する方式。
- 仕組み: 常に「一回前のバックアップ時点」からの変化量だけを追いかける。日々のデータ量は最小限に抑えられる。
- メリット: 日常的なバックアップ実行時間が最も短く、消費するストレージ容量も最小限に抑えることができる。高頻度(1時間毎など)でバックアップを取りたい場合に最適。
- デメリット: 復旧(リストア)のハードルが上がる。復旧には「直近のフルバックアップ」に加え、それ以降に取得したすべての増分バックアップファイルを順番通りにすべて適用する必要がある。もし途中の1世代でもファイルが破損していると、それ以降のデータに復旧できなくなるリスクがある。
4. まとめ:各方式の比較表と選定戦略
運用の現場では、どれか一つの方式だけを採用するのではなく、一般的に「週末にフルバックアップを取得し、平日に差分(または増分)を取得する」といった組み合わせによる戦略(世代管理)がとられる。
【3大バックアップ方式のクイック比較】
| 方式 | 日々の実行時間 | 消費容量 | リストアの容易さ |
|---|---|---|---|
| フル | 長い | 大 | 最高(1ファイルで完了) |
| 差分 | 中 | 中 | 良好(フル + 最新の差分) |
| 増分 | 最短 | 極小 | 複雑(フル + 全増分が必要) |
システムの許容できる停止時間(RTO)や、データ復旧の目標地点(RPO)、利用可能なディスク予算のバランスを考慮し、最適なバックアップ計画を組み立ててほしい。
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